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8月6日

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菅首相が辞任に追い込まれる前に、私の所見を述べておく必要がある気がする。


菅首相を支持する私が、さんざん叩かれる菅首相についてこれまで擁護したりする文を書いてこなかったのは、

復興財源の確保や国家財政再建のための増税と国民感情が一致しないのは当たり前、脱原発が目の前の経済活動の要望と一致しないのも

当たり前で、それがわかっているうえでもやらなければならないこととして、菅首相は取り組んでいると私は思っており、

何と叩かれようとも菅首相には頑張ってほしいと思っているが、国民の意見が2分して、菅首相を面白く思わない人が多く存在するのも止む無しか、

とも思っていたからである。


特に経済について疎い私は、おカネについて語る資格がないと思っており、経済活動と衝突すると、つい言葉が出てこない。


しかし、今の経団連の会長の言葉をたびたび耳にするにつけ、なんだか含蓄というものが感じられず、価値基準すらお粗末な印象を受ける。


結局、経済が潤うためには、人々の間に経済格差があったほうがよく、安い賃金で使える質の良い労働者の存在を欲しているのが強く感じられる。

原発で放射線被害にあうような犠牲となる人たちも経済のためには必要なんだ、とすら言いたいのが、今の経団連会長からは露骨に感じられる。


また、菅首相に辞めてほしいのは、原発推進に力を傾けてきた官僚・政治家達だろう。


かつて田中真紀子氏が外務大臣になったときに「外務省は伏魔殿」という名セリフを残したが、おそらく経済産業省だって同じであろう。


今回の原発事故での、初期対応の鈍さは、経済産業省や天下り先の保安院、東京電力などが原発推進を妨げる現実を直視しなかったためだろうし、

菅首相は経済産業省の誰に何を言えば物事が進むのか、わかるまでにかなりの時間を要したことだろうと思う。

それは東京電力という競争相手のいない独占企業の内部についても同じだったと思われる。


今回の原発事故、とりわけ、災害対策を怠ってきた体質を生んできた官僚・政治家・東電の責任を菅首相になすりつけるような論調が

世間にまかり通っていることが私には信じられない。

ここで首相の首を入れ替えれば、東京電力や経済産業省は誰にものを言えば事が動くのかわからない人がトップにつく可能性が高くなる。

そうなれば、今回の原発事故の原因を自覚している官僚や東電の責任者たちにとって責任転嫁や責任のがれがやり易くなるだろうし、

菅首相が考えている経済産業省と保安院の改革や、送電分離などの考えはなし崩しになるだろう。

自民党は経済産業省の次官の更迭に文句を言っているが、では今回の原発事故の原因をどのように考え、責任はどこにあると考えているのか。

経済産業省出身の自民党の政治家・細田博之氏は、党の再生可能エネルギー特措法案への対応を協議する特命委員会で、次のように発言。

政治家が何でも法律で世の中を動かせると誤解している。無駄な議論を続けない方がいい。政治家が何かを考えても当たったためしはない。」

このような考え方は、議会制民主主義の基本を軽んじた日本の官僚的思考の典型だと思う。

 

また、原発事故の責任で菅首相を裁判に訴えた民間の人がいるというニュースを数日前に知ったが、何とピントのボケた話だと思う。

この国はだいじょうぶか?